近年、世界的に医療マーケットが拡大している中、医療製品やサービスの更なる安定供給を図るため、グローバルでの生産体制の拡充を図る必要が出てきました。グローバルでの生産体制を拡充するためには、海外生産比率も引き上げる必要がありますが、医療製品の中には海外へ移管が難しい高度で精密な生産技術を用いるものがあります。また、生産技術および基材ともにノウハウの固まりでもあるため、国内にとどめておくべきものも多々あります。
そのため、国内に生産拠点を建設することとしました。国内生産拠点をものづくりのコア技術育成と改良改善を支える、マザー工場として位置付け、拡大する世界の医療需要に応えていきます。
国内の製造拠点は静岡県と山梨県にあり、2011年に東日本大震災に直面しました。震災を経験したことで、地震のみならず災害によって工場の生産が停止した場合、国内外の医療も止めてしまうという大きなリスクを実感し、BCMの観点から生産拠点を多極化するため、西日本に新たな拠点を立地することを検討しました。
いくつかの候補地から山口県の「山口テクノパーク(山口市)」を選んだのは交通のアクセスの良さや手厚い優遇制度に加え、津波や地震などの災害リスクの少なさが挙げられます。
また、県内に高校や大学・高専などの産業人材を養成する教育機関が多くあり、豊富な人材が多く集まることも期待しました。平成28年度末までに約300名の新規雇用を予定していますが、平成26年12月末で200名を超える採用を行いました。優秀な人材が多く集まり、これからのグローバルでの生産体制の拡充を支える人材として大いに期待しているところです。
敷地面積約10万㎡の中に「ガイドワイヤー」(1号棟)と「薬剤入り注射器」など(2号棟)の製造工場を建設しました。血管内にカテーテルを通すための“線路”の役目を果たす「ガイドワイヤー」は世界各地に出荷しているテルモの主力製品です。また、薬剤入り注射器などのD&D(ドラッグ&デバイス)製品は今後成長が見込める製品の一つです。
「ガイドワイヤー」とD&D製品は、市場と技術が異なる事業です。それぞれの事業基盤の強化とグローバルでの生産体制の拡充を図るため、2015年1月にD&D製品の事業を担うテルモ山口D&D(株)を新たに設立しました。
それぞれの事業を担う製品は、高度な生産技術を用いるため今後も国内生産拠点で製造を行っていきます。その中でも、テルモ山口(株)およびテルモ山口D&D(株)はグローバル生産体制を支えるマザー工場として、将来にわたり大きな役割を果たしていきます。
テルモ(株)の子会社として、平成23年に設立。医療機器・医薬品の製造。平成24年1月に山口市と山口テクノパーク進出に係る協定を締結。敷地面積は約125,000㎡。